謝辞
令和4年12月1日〜12月2日にかけて「【第02回】名興文庫があなたの作品読むよ!」企画を開催しました。
多くの方に注目していただき、とても嬉しく思っております。
ご参加くださった皆様、拡散にご協力してくださった皆様、ありがとうございます!
企画詳細
「【第02回】名興文庫があなたの作品読むよ!」の詳細は以下になります。
*企画告知のページはこちら
【求める作品】
「保護者フィルター、どんとこい」
・檸檬レーベル(児童書)担当者の主催につき、年齢制限の必要ないコンテンツで、ローティーン読者が楽しめる作品を読ませてください。
・保護者目線で、小学校高学年に推奨しにくい作品はご遠慮ください。
【条件】
・文字数6万字まで
・年齢制限(R制限)の要素がないこと
・無料公開中の作品であること
・作品の感想・講評の公開に同意できること
【ルール】
・作品のURLをリプライ願います
・先着10作品まで(または期限2022/12/10まで受付)
まとめ
令和4年12月1日から「【第02回】名興文庫があなたの作品読むよ!」企画を開催しました。今回は児童文学の檸檬レーベル主催です。「保護者フィルターどんとこい」として、ローティーン読者にお勧めしたい作品を対象としました。
いざ探そうと思うと、投稿サイトではあまり出会いがない部門です。ご応募いただいた貴重な作品には、こころよりの感謝とともに感想をお伝えいたします。
『児童文学とはなんでしょうか?』
歴史や原点、他ジャンルとの境界など議論は尽きませんが、「こどもを読者として書かれた作品」であることが、一番に挙げられます。
ところで、皆さんはだれのために作品を書いていますか?
自分のため、大切な友人のため、家族のため、どこかのだれかのため……
自分のためであれば、お願いすべきはありません。自由に、なにものにもとらわれず、自らと向き合ってくださればと思います。
そうでなければ、知っているだれか、いえ、それが未知のだれかであっても人物像を想定して、どんなパッケージでなにを届けるか、伝わりやすい形を練り上げてください。
なんのために、こんなことを言うのかと思われるかもしれません。実はマッチングについて考えていただきたいのです。
今回の応募10作品について、感想をお返しできるのは3作品のみで、残念ながらほか7作品は対象ではないと結論しました。「こどもが読む」ことを前提とすれば、おそらく使わないであろう表現、調整するであろう被害者像、主要キャラクターの属性、強調するシーンの選択や描写の濃淡。そしてメッセージ。もったいないと思いながら、今回対象からはずした作品もあります。悪しからずご了承くだされば幸いです。
世の中には大手のコンテストから個人が呼びかけるものまで、様々な「読みます」が存在します。その中で、募集内容を吟味せずに応募することは、実は明確にリスクを伴います。例えるなら、だれかに求愛する際に「誰でもいいから私を知って好きになって」と無差別に伸ばした手をとるひとはいるでしょうか? よほど奇跡的な出会いでもなければ、言われた方は気分を害して立ち去るでしょう。今回の企画では、詳細を確認されなかったのかな、と思われるご応募もいただきました。
孫子曰く、「彼を知らず己を知らざれば戦う毎に必ずあやうし」。
応募先と自分の作品、双方をよく検討して、戦略を練り……そうして皆さまに良い出会いが訪れますよう願います。
私たち名興文庫は、これからも折々の企画で作家の皆さんを応援して参ります。
読了後の感想
ご応募いただいた作品の内、条件に合致する小説を読ませていただきました。
下記にメンバーの感想を記載いたします。
尚、紹介の順番は作品タイトルの五十音順となっております。
※敬称略とさせていただきます。
『碧き惑星、想いはダイヤモンドの吹雪を越えて ~破天荒な美少女たちの奮闘は神話を紡ぐ~』|月城 友麻(deep child)

応募時点で連載開始当日であり、分量的にコメント不能でした。【募集対象外】

まず最初に。本企画は応募者の毎日投稿を応援するものではありません。応募のあった時点での話数を読ませていただき、その感想を提供するものです。
よって、第一話のみ読ませていただきました。今回の応募趣旨である児童文学作品に該当しないため、感想は省略させていただきます。
『神様の子』|みちづきシモン

あるところに神さまがいました──昔話のような、こども向けの短編作品。
神様のこども、ひーちゃんが母神様にお願いして地上に降り立ち、下界を見て回る。食べ物を買い、窓から飛び降り……読んでいると気分はすっかり「初めてのおつかい」を見守る保護者。
そのうち町の大人や子どもたちと交流しはじめて。
ひーちゃんの「冒険」には、いろんなひとが登場する。こどもたちは、どきどきハラハラしながら、多様性を感じることだろう。世の中にちょっぴり慎重になるかもしれない。自分も神様の子と友達になりたいと思うかもしれず、卑劣な誘拐犯にこぶしを握り締めてなんとかしなくちゃと考えるかも……
現代バージョンの昔ばなしを味わった。児童文学、童話、説話、昔ばなし。子ども向けに用意される物語にはいくつか呼び名があるが、いずれにしても、こどもに語り聞かせるお話にはどれも、たくさんの効果があったなあと、温かい気持ちになった。
ところで島の神様の話だ。どんな島なのか、興味がわくところである。

ほのぼのとした作風で読むと暖かい気持ちになれる作品
物語の起承転結がはっきりしており、児童が読んでもわかりやすいものでした。
正道な児童文学ですのでお子様にどうぞ~

神様の子・日衣が人間たちの住む地上に降りて子供たちと仲良くなり、そこから起こる騒動を描いた物語。子供たちの笑い声が聞こえてくるような会話に、児童文学らしいハラハラ・ドキドキ。「また、あした」にほっこりしました。
『仮面探しの葉っぱ道』|蒼(あおい)

ファンタジー作品。10話読了も話の骨子が掴めず。残りの話数からいって、コメントできる状態ではないと判断しました。【募集対象外】

第三話まで読ませていただきました。今回の応募趣旨である児童文学作品に該当しないため、感想は省略させていただきます。
『空の卵』|千里 望

ショート作品。企画趣旨もあって、中高生の想定で読んでいたところ、成人していた模様。必ずしもキャラクターが成人でないことを児童文学は求めないものの、今度はこどもに向けて書かれた要素が分からない。
一方で「キャラの年齢を感じさせない」。そこに改稿の余地を感じる。この空白をどんな手法で埋めるのか、そこがまた創作の醍醐味。「こども」を意識した加筆があれば、改めて読ませていただきたく思います。【募集対象外】

読ませていただきました。今回の応募趣旨である児童文学作品に該当しないため、感想は省略させていただきます。ですが、工夫次第で児童文学になると感じました。惜しかったです。
『「大丈夫」という言葉、僕は好きになれない。』|ネズミ

現代作品。内容ですが、こどもに向けて書かれた要素が見当たりません。【募集対象外】

読ませていただきました。今回の応募趣旨である児童文学作品に該当しないため、感想は省略させていただきます。
『千鳥夜行』|平沢ヌル

美しい白昼夢のようにミステリアスな短編作品。
主人公の千鳥が迷い込んだのは薄暮の世界。うすく発光する大気と草花。見覚えのない銀の鍵。アンバランスな風貌の鳥、パカパカが千鳥の水先案内人だ。
ダリの描く幻想画のような、大貫妙子の歌う「メトロポリタン美術館」のような。帰り道を探す謎解きのような道行きは、一貫して独特の空気感が支配している。やがて遺跡の趣漂う広場で迎えるクライマックスシーンには鳥肌が立った。
その後のエピローグでは、落差が視覚的な明暗でも感じとれ、物語をピリリと引き締めた。
振り返れば、遙か悠久の時間を辿った満足感とともに、多方面にてもの思わせてくれるこの作品。ローティーン読者にも大人にも、ぜひ一読を勧めたい。
叶うなら「旅パート」をもっと読みたい。中生代を想起させるシダの森や、生命ゆたかな水辺には、きっと鳥たちを頂点とする食物連鎖もあったことだろう。彼らの生態、生き方に興味津々なのだ。
まだ銀の鍵をはじめ、謎は残っている。いち読者として続編を待ちたい。

幻想的な世界観が色鮮やかに描かれている作品
読者の対象年齢が多少高いが子供に読んで感性が磨かれることでしょう。
夢は現実なのか?

主人公・千鳥が鳥の世界に迷い込んだ短編小説。さまざまな鳥たち、月光の鍵、満月の鍵穴。世界全体がキラキラと輝いて、魅了されました。鳥の世界を歩くシーンをもっと読んでみたいです。
『花廻り屋八雲さんと僕』|毒電波

現代ファンタジー作品。完成度は高いものの、投稿サイトに表示されるとおりの年齢制限が必要な描写あり。ローティーン読者向けとは言えない内容です。【募集対象外】

第一話を読ませていただきました。今回の応募趣旨である児童文学作品に該当しないため、感想は省略させていただきます。
『ライバル』|天野つばめ

自然に背中を押してもらえるような、こころ湧き立つ作品である。
いつだって目の前に立ち塞がるアイツ。サッカーも、勉強も、競技クイズも。
青春の葛藤が存分に詰まった、密度の濃い青春短編作品。
引退試合だと心に決めて、長年のライバルとの対決の舞台に望む主人公。回想する瑞々しい感情は真に迫り、その思い出が伏線となってクライマックスシーンを盛り上げる。また、小学生から高校までの回想は、若い読者に自らの年代の主人公へ共感を抱かせ、その軌跡を追体験し、心地よく読書に没入できるだろう。
この没入感が読書における最大の喜びのひとつである。
……自分にもいただろうか、本気で競い合い加速し合う相手が──大人の読者にとっても、読後まで想いの尽きない作品となるだろう。

現状に燻っている学生におすすめの作品
読者の対象年齢は高いが青春ものとしても良い物語
好敵手は己を成長する鍵である。

主人公・巡とライバル・律の青春物語。巡の律に対する葛藤、ライバルとしての矜持、決勝戦の緊張感とその後の爽やかさはまさに児童文学に相応しいと思いました。二人の友情がこれからも続きますように。
『竜に見出された僕は竜退治に出かけ~そして俺は殺戮者になる【前編】』|葛原一助

ファンタジー作品。冒頭の事件が読者の情感を揺さぶるが、投稿サイトに表示されるとおり年齢制限が必要な描写あり。ローティーン読者向けとは言えない内容です。【募集対象外】

第一話を読ませていただきました。今回の応募趣旨である児童文学作品に該当しないため、感想は省略させていただきます。
『Fake Earth』|Bird

SFファンタジー作品。完成度が高くテーマ性もあり、深く考えさせられるものの、ローティーン読者向けに考慮されたとは言えない描写を含む作品です。【募集対象外】

第二話まで読ませていただきました。今回の応募趣旨である児童文学作品に該当しないため、感想は省略させていただきます。
今後の予定
今回、先着10作品の枠が早々に埋まりました。
ご協力くださり、誠にありがとうございます。
参加できなかった方は申し訳ありませんでした。
またの機会をお待ちいただければ幸いです。
今後とも何卒よろしくお願い致します。